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【調剤事務必見】2024年診療報酬改定の内容をわかりやすく解説

2024年には、多くの医療関係者にかかわる「トリプル改定」がおこなわれ、診療報酬が改定されます。一般医薬品を扱う登録販売者も医療関係者の一員ですが、「トリプル改定ってなんだろう?」「登録販売者にも関係があるの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、現在注目を集めているトリプル改定の解説や、診療報酬改定のポイントを説明していきます。最後に登録販売者に関係があるのかにも言及しているので、ぜひチェックしてみてください。

目次



2024年は「医療」「介護」「障害福祉」のトリプル改定

まずはトリプル改定の説明からおこないます。トリプル改定とは、「医療」「介護」「障害福祉」の3つの分野の報酬が同時に改定されることです。

医療の対価である診療報酬は2年に1度、介護サービスの対価である介護報酬は3年に1度、障害福祉サービスの対価である障害福祉等報酬は介護報酬と同じく3年に1度、定期的に変更されています。そして6年に1度、今年のように3つの改定が重なることをトリプル改定と呼んでいます。

そもそも医療関係の報酬は、医療やサービスを受けた患者が1〜3割、残りは患者さんが加入する保険組合や協会が払う仕組みです。患者の負担をなるべく少なくするために、報酬を点数化して加入している保険で支払うようになっています。

この点数の基準が今年は「医療」「介護」「障害福祉」の3分野とも改定されるため、多くの医療関係者が注目をしています。登録販売者は3つのなかでも、とくに「医療」の対価である診療報酬の改定が気になる人が多いのではないでしょうか。ここからは診療報酬について詳しく解説していきます。

新しい診療報酬はいつから適用される?

新しい診療報酬は、従来だと4月1日より執行となっていましたが、2024年度の改定により2カ月後ろ倒しの6月1日からの執行となりました。

2024年のトリプル改定は、さまざまな社会問題を背景に考えられた改定といわれています。そのため医療関係者だけでなく多くの人から注目を集めているのですが、その分対応しなくてはいけない業務が多く医療従事者の負担が大きくなりがちです。

システム変更による医療従事者の負担を軽減する理由でも、執行が後ろ倒しになりました。準備期間を十分に取ることで、スムーズに新しいシステムに適応していけることを狙っています。

2024年診療報酬改定のポイント

2024年の診療報酬改定が注目を集める理由には、現在の日本の社会課題である少子高齢化が背景にあります。少子高齢化がひとつの問題というわけではなく、派生してさまざまな問題の原因となっているのが現状です。

その少子高齢化が原因で広がる問題を少しでも改善するための改定になっているかが、今回の診療報酬改定でのポイントとなります。それでは具体的なポイントをひとつずつ見ていきましょう。

経済社会情勢の影響への対応

2025年には団塊世代が75歳の後期高齢者に突入しさらに高齢化社会がすすみ、2040年には15〜64歳の生産年齢が人口の少数になってしまうといわれています。そんななか医療費の負担は年々大きくなっているのが現状です。医療・介護・障害福祉のサービスが必要になる人口が増える一方、そのサービスを支える人材はどんどん減少しています。

そこで国が推奨しているのが全世代型社会保障です。全世代型社会保障とは、年齢に問わず能力に応じて社会全体を支えていこうという取り組みになります。現役世代の医療費を減らすべく、高齢者の窓口負担の改革などをおこなっています。

また、高齢者を地域のみんなで支えていこうという取り組みが、地域包括ケアシステムです。地域包括ケアシステムでは、高齢者が住み慣れた場所で自分らしく生活できるような体制を、2025年までに構築しようとしています。地域包括ケアシステムを構築するにあたっては、包括的なサポートができる体制を整えることが大切です。そのなかで、医療・介護・障害福祉サービスの連携強化が重要視されています。

人材確保と働き方改革

また、医療サービスを受ける側だけでなく、医師や看護師を含む医療従事者の働き方改革や人材確保もポイントです。医療を必要としている人が多くなる一方で、医療従事者の待遇や働き方は取り残されている部分が多くありました。そんななかで診療報酬改定と同時に、医療従事者の働き方改革も促進していく動きがあります。

現在では、効率的な医療体制を整える「医療計画」が推進されています。どんな計画かというと情報共有や、デジタルの力を使って効率的に医療を提供する計画です。少子高齢化にともない医療従事者として働く人材も減少しつつあるなかで、少しでも医療従事者の負担を減少できるように、さまざまな取り組みを検討しています。

さらに医療従事者の待遇を改善することで、新しい人材の確保も重要です。新しい技術や新しい人材を大切に扱いながら、少ない人数でも満足のいく医療を提供できる体制を整えていきます。

医療DXの推進

今回の改定では、医療DXをさらに推進していく点もポイントです。医療DXとは、医療デジタルフォーメーションの略で、医療現場にデジタル機器を投入して効率化を図ることを表します。医療DXは、医療情報の活用や医療機関の連携強化をするうえでとても重要な役割です。

上記でも記載した地域包括ケアシステムを構築するための医療・介護・障害福祉の連携強化には、情報の共有が欠かせません。電子カルテの情報・介護情報・予防接種の情報など、医療関係の情報を一挙に把握できるプラットフォームなど、効率化を促すデジタルが導入されるようです。

また、医療DXの強い推進には、マイナンバーカードの存在もあります。マイナンバーカードと健康保険証を紐づけることで、情報化が一気に進んだのが現状です。健康保険証も廃止になり、お薬手帳もマイナンバーカードの情報に組み込まれます。医療従事者だけでなく、医療サービスを受ける側もデジタルの恩恵を受けられるでしょう。

他にも医療費の計算をスムーズおこなうものなど、デジタルをフル活用する未来が訪れそうです。どのようなデジタルが導入されるのか、楽しみにチェックしてみましょう。

調剤に関する取組み

2024年の診療報酬改定では、調剤に関する取組みも大きいポイントにあげられました。もっとも注目を集めたのが、門前薬局についての報酬を下げる方針です。門前薬局とは、病院外にあるが病院の目の前にある薬局のことを示します。門前薬局による調剤の医療費負担が大きくなったことが原因です。

また地域包括ケアシステムの構築を推進するにあたり、国は「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へという文言を謳っています。調剤をして医薬品を提供するだけでなく、患者と対面することを重要視する考えを前面に感じました。薬中心の業務から患者さん中心の業務に改善するよう促しています。

さらに在宅業務の推進していることも注目です。こちらも地域包括ケアシステムの影響からか、退院後や在宅医療など、在宅で薬を服用する人へのフォロー業務を促しています。在宅でも安心して薬を服用できるような体制づくりに力を入れているようです。

調剤報酬の改定は登録販売者には直接は関係ありませんが、医薬品のことなので気になる人も多いのではないでしょうか。厚生労働省の詳しい資料がありますので、ぜひチェックしてみてください。

参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000911825.pdf

診療報酬改定で登録販売者に影響はある?

診療報酬改定のポイントについて見てみると、登録販売者に影響があるようには思えない人も多いのではないでしょうか。実際、診療報酬改定により登録販売者の業務が大きく変わることはないといえます。

しかし、少子高齢化による問題は、日本に住む人なら誰にでも影響があるといえるでしょう。さらに直接影響は少ないですが、登録販売者も医療関係の業種です。直接的ではなくても、何かしら役に立つ場面を見つけてみましょう。

例えば、地域包括ケアシステムの構築では、地域のみんなで高齢者を支えることを推奨していました。自分が登録販売者として働いているドラッグストアやコンビニ、スーパーなどで見かける高齢者に寄り添うことからはじめましょう。

ドラッグストアやコンビニ、スーパーなどで働く登録販売者には直接的な影響はあまりありませんでしたが、登録販売者のなかには影響がある人もいます。それは調剤薬局に勤務する登録販売者です。

調剤薬局に勤務する登録販売者に影響

今回の診療報酬改定では、地域包括ケアシステムを確率するために、調剤薬局では対人業務を重要視する体制が整えられました。服薬を販売するだけでなく、販売後のフォローや患者さんとのコミュニケーションから異変を感じたら医療につなげるなどの役割を期待されます。

調剤薬局に勤務しているのは薬剤師がほとんどですが、調剤薬局に務める登録販売者はこれらの役割を理解して、薬剤師のフォローをおこなう必要があるでしょう。

まとめ

2024年の診療報酬改定が注目を集めている理由は、日本全体の問題である少子高齢化が背景にあるからです。医療関係者だけでなく、日本で生活をして医療サービスにお世話になるひとりひとりが考えなくてはいけない問題だといえます。

登録販売者の業務自体には大きな影響はありませんが、診療報酬改定のポイントを知っておくことで間接的に役立てることも多いのではないでしょうか。まずは2024年診療報酬改定のポイントを頭に入れつつ、日々の業務を誠実にこなしていきましょう。

そして、もっと診療報酬改定の内容を詳しく知りたいと感じたら、厚生労働省のWebサイトなどに資料が公開されているため、ぜひチェックしてみてください。