登録販売者の中には店長になるのを目標にしている方も多いでしょう。店長になると年収もアップするし、仕事のやりがいも増えます。しかし、よいことばかりとは限りません。やはり責任重大な仕事なので、大変なこともあります。
実際の店長の仕事がどのようなものであるのか、今回は「新旧店長対談」と称して、店長経験者であるお二人に対談形式でインタビューしました。
【店長】
横山元伸さん
旧店長代表。2014年の店長。大学卒業後ドラッグストアで3年間働き店長まで昇進、その後、営業会社を経てアポプラスキャリアに入社。現在は大阪オフィスに勤務している。
田中真之輔さん
新店長代表。2023年までドラッグストアの店長をしていたが、サポートする側に興味があり、転職エージェントであるアポプラスキャリアに入社。現在は大阪オフィスに勤務している。
【インタビュアー】
村松早織さん
株式会社東京マキア 代表取締役/薬剤師・登録販売者講師。
登録販売者や受験生向けの講義を中心に事業を展開している。
目次
──店長の働き方はかなりハードなイメージがあります。昔の勤務環境や残業時間はどんな感じだったのでしょうか?
横山「私が働いていたのは10年ぐらい前になりますが、かなり忙しかったですね。当時は30時間ぐらい見込み残業が付いていました。それに、今の価値観だと良くないと思うんですが、当時はサービス残業も常にありました。合計すると50時間は残業していたかな。
やはりパートさんだけだと回らないというのもあったので。かなり連勤もありましたし、そういう時代だったと思いますね」
──今の店長さんはそのへんどうなのでしょう?
田中「正直、今の話を聞いて"うわぁ、めちゃめちゃ残業している…"と思いました(笑)私自身、現在ではほぼ残業なく定時で帰るようにしていますね。そもそも見込み残業という制度が今は無いので。見込み残業って手当てとかは出ていたんですよね?」
横山「そうそう。見込み残業分の手当ては出るんだけど、30時間分の手当てが付いたら、30時間は確定で残業しなきゃいけない、みたいな制度ですね。最初から残業込みでシフトを作ってしまうんです」
田中「年収に見込み残業代が最初から入っているというのは多少よい面なのかもしれないですけど、今の感覚からすると残業した分だけ普通に残業代が付くのが当たり前なので、少しびっくりですね」
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──「店長をやっていて大変だな」と思うことはありますか?
横山「いちばんは責任の重さですね。店舗の最終責任者は店長なので。やっぱり最後は店長が責任を取るっていうのがありますから。でも、パートさんの教育をやったりして前年の数字や目標を上回ったら自分が評価されるとか、そういう部分でのやりがいはありますね」
田中「やっぱり1つのお店を任されるプレッシャーは、なかなか大変だと思います。でもそのぶん裁量も大きくなります。前職の店舗が月に3,000万、年に3億6,000万円ぐらい売上があって。たくさんの従業員をまとめて動かして、経営者のような立場で、やりがいはすごくありましたね」
──店長になったら販売ノルマが大変だと思うんですけど、そのへんはどうされていたんですか?
横山「私はわりと売るのが好きだったので、そこまで販売ノルマは気になりませんでした。むしろ自分からハンドクリームを首からさげて、お客さまの手に塗ってさしあげて、1日10本ぐらい売っていたときもありました。
女性のお客さまに"これサンプル付きますよ"とかいっておすすめしたりして。パートさんとかにもロールプレイングというか、朝礼とかで実演してみせたらみんな売ってくれていましたね。"店長、売れましたよ"といってくれるのが嬉しかったです」
──私もドラッグストアで働いていたことがあるんですが、推奨販売がすごい「伝説の店長」みたいな人がいました。
横山「田中さんは結構売ってますよ」
田中「そうですね(笑)全国1位とか達成したこともありますね」
横山「すばらしい」
──すごいですね。伝説の店長ですね(笑)
田中「でもやっぱり1人だけの力ではなくて、従業員の皆さんがいてこその結果ですね。やっぱり教育とか、従業員1人ひとりに声をかけたりとか、レジにカンペつけてセールストークしてもらったりとか、お客さま1人ひとりに合わせた細かい対応を徹底してたらめちゃくちゃ売れました」
──ときどき聞く話ですけど「自爆買いノルマ」とかはあるのでしょうか?
横山「それを聞いちゃいますか(笑)まあ、10年前は普通にあったと思いますね。栄養ドリンクを自爆買いして事務所に山積みしていた店長がいて、それをサンプルで配ったりとか、パートさんにあげたりとか、ちょくちょく聞きました。私は自爆買いしたくなかったのでやっていませんでしたけどね」
田中「今の時代それは会社から禁止されていますね。でも、自発的に自爆買いしている店長さんがいて、それをフリマアプリで転売していて。会社から特定されて処分されたという話も聞きました。今はノルマどころか、むしろやると処分される時代ですね」
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──店長を目指している人は多いと思うんですけど、何を評価されたら店長になれるんでしょうか?
横山「そうですね、やっぱり店舗の管理とか運営の部分。とくに従業員とコミュニケーションが取れているかどうかですね。パートさんや他の社員さんとコミュニケーションが取れていないと、店長の仕事はできないので」
田中「それは今でも同じですね。私の場合は一般社員として販売で成果を出して、副店長に抜擢していただきました。そして、副店長になってからマネジメントや従業員の教育、あとは自分で販売するのではなく周りを動かして成果をあげたり、そういう部分で評価していただいて、店長にあがれたのかなと思います。
やっぱりコミュニケーションがいちばん大事ですね。店長にあがるために評価されるいちばんのポイントはコミュニケーションだと思います」
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──店長になって一般社員だったときと変わった部分はありますか?
横山「店長になると店長手当が付いたりとか、給与面でのアップがやっぱり大きいですね。あとは裁量や権限が増えるということ。メンバーの教育であるとか、店舗全体の管理をしなきゃ行けないところがいちばん変わった部分だと思います」
田中「やはり責任の範囲とプレッシャーがいちばん変わった部分ですね。1つのお店を経営しているわけで、そのお店の責任は全部店長の肩にかかってくるので。どうしても自分の手に負えないときは更に上に相談することもありますが、基本は店長の裁量でやらないといけないです」
──店長に求められることって何なのでしょうか?
田中「やはり数字責任ですよね。一般社員だと個人の成績で評価されるけど、店長になると店舗全体の数字で評価されるっていう。あと、従業員の方たちが頼ってくるポジションだから、頼りがいであったりとか、迅速に対応できるかとか、そういう部下に対する責任もありますね。
クレームとか全部店長に来ますからね。最初は従業員が対応するんですけど、手に負えなかったら店長が出て行く。最後の壁は店長なので、そこが大変ですね」
──やっぱり困ったとき最後は店長にいうしかないので、手に負えないクレームが全部来るわけですよね。
横山「そう、全部来ます」
田中「全部来ます」
──でも、そこで上手く対応できたりすると、「やっぱ店長すげえな!」と尊敬されたりしますね。
横山「いやあ、対応できていたかどうかわからないですけど、無我夢中でやるしかないというか(笑)クレームに上手く対処できたらそのお客さまが戻ってきてくれることもあるんですよね。私たちも反省しなければいけない部分があったと思いますので、よい経験になったと思います」
──視聴者のみなさんがいちばん興味のあることだと思うんですけど、ぶっちゃけ店長の年収はいくらなのか、聞いてもいいですか?
「はい、大丈夫です(笑)年収でいうと一応○○○万円ぐらいはいただいていたので…」
気になる店長の年収は動画で金額を明らかにしています。記事には書いてないぶっちゃけトークも収録しているので、ぜひご視聴ください。
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